思い出すのは、7勝8敗の負け越しでも横綱でいつづけた大乃国。
休場もしなかったものなあ。
千秋楽を終えてから二子山理事長に進退伺いにいったところ、
理事長から「いいからやれ」と言われたらしい。
理事長もまた懐が深い。
いい時代のいい話…ということになってしまうのでしょうか。
今はなんでもかんでもせせこましくて、生きづらいなあ。
引退会見での稀勢の里は、さすが愛され横綱、
人柄のよさがにじみ出ていました。
思わず涙しちゃったのは、白鵬や日馬富士の名前を上げて、
モンゴル横綱を褒め称えたところ。
「日本人横綱」として熱狂的に応援される自分に対し、
冷ややかなファンもいるモンゴル横綱たち。
白鵬の稽古ぶりや、日馬富士が優しい言葉をかけてくれたことなど、
彼らが横綱として素晴らしいこと、自分が感謝していることを
きちんと言葉にしたところに、稀勢の里の人間が表れていたと思います。
キャッチコピーは「人間味が愛されています」。
こんなグッズがつくられちゃうのも伊達じゃないよ。
心からお疲れ様でした。
でも、寂しいなあ。
でもでも、一番がっかりしているのは白鵬かもしれません。
2年前、稀勢の里の横綱昇進直後に、
上賀茂神社でご一緒したときの白鵬の喜びに満ちた表情が思い出されます。涙
四横綱時代の到来に胸が踊ったなあ。
日馬富士に始まり、こんなにも悲しい結末になってしまうとは
思わなかったなあ。
そんなふうにがっかりしているところに、
市原悦子、梅原猛と相次いでの訃報。
自分でも、びっくりするほど気落ちしてしまいました。
特に梅原先生は、年明けからちょうどこんな本を読んでいたところでした。
『怨霊と縄文』、1979年刊の講演集です。
記紀、聖徳太子、柿本人麻呂、アイヌと先生の重大要素が
ぐぐっとつまった内容。
年齢的には今の私くらいで、当然だけど
その差の開き具合に「ぐぬぬ…」となったりして。
さらに遠くに行ってしまわれたようで寂しい。
こんな本を片手に九州を旅したこともありました。
今、私が神話や古代史について、書いたり話したりできるのは、
こうした経験があるから。
瀬戸内寂聴を京都の寂庵に訪ねたときは
玄関に飾られた、梅原先生の書を生で見られるのが楽しみだった。
意外なほどに思い出があって、びっくりですよ。
一度もお目にかかったことのない私でさえこうなのですから、
直接、ご交流のあった方々の思いはいかばかりか…。
その前に、今年になって新たに始めたこととして、
毎朝、新聞を読む
ということがあったのですが。
産経新聞ですよ、もちろん。
これまでも読みたかったのですが、
読む暇がないままの新聞が山になっていくストレスや
古新聞をまとめる作業がとてつもなく苦手、ということなどあり、
二の足を踏んでおりました。
そんな話をしたところ、「電子版があるよ」との一言で即決(遅い)。
くだらないワイドショーなどに時間をつぶすこともなくなり、
朝からいいスタートが切れています。
…が、前述の引退や訃報なども目にすることになり。
新聞悲喜こもごも。
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